期間工として働く際には、メーカーの工場が地方にあることが多いこともあって、転居を伴う場合が一般的です。転居にあたって「引っ越しをする際に住民票を異動する必要があるの?」「元の住所に家族はいるけど手続きはどうするべきなの?」といった疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
この記事では、住民票の異動についての原則や例外、異動の手続き、手続きを進める上で注意すべき点などを解説します。期間工への応募を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
目次
【原則】引っ越したら住民票を移す必要がある
転居が発生した場合、住民基本台帳法によって原則住民票の変更が必須とされています。住民票の住所変更には、転居前後の市区町村の役所で、それぞれ転出届と転入届の手続きが必要です。手続きと提出先、提出期限の詳細については以下の通りです。
提出先 | 転居前の市区町村 | 転居先の市区町村 |
---|---|---|
手続き | 転出前に転出届を提出 | 転入届と転出証明書を提出 |
期限 | 引越前の日付に合わせる必要がある | 転入した日から14日以内に提出する必要がある |
期間工として新しい土地で生活をスタートする際にあたっては、住民票の異動手続きを怠らないようにしましょう。なお、同じ市区町村で引っ越しする場合は「転居届」のみが必要となり、転出証明書の取得は不要です。また寮生活となる場合には、寮の所在地が新住所となります。
【転出・転入届】マイナポータルでのサービスもある
マイナンバーを発行している人は、2023年2月から政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」を利用することで、「転出届」の提出が可能となりました。ただし、転入届(転居届)の提出はマイナポータルから行えないため、役場などでの手続きとなります。
なお、マイナポータルの利用には、利用者登録・ログインが必要です。自治体やスマートフォンの端末がマイナポータルに対応していない場合もあるので事前に確認しましょう。
参考:引越し手続について|マイナポータル
参考:マイナポータルを通じたオンラインによる転出届・来庁予定の連絡の手続方法|デジタル庁
【例外】住民票を移さなくてもよい場合もある
住民票は、一定の条件がそろう場合には移さなくてよいとされることもあります。
期間工の仕事が1年未満の短期契約の場合や本拠地(実家や配偶者などが生活している生活の拠点)が変わらない場合には、住民票の変更は例外的に不要です。いずれ本拠地に戻る予定であり、一時的な勤務地変更や通勤のための滞在であれば手続きは必要ありません。
ただし、この場合であっても勤務先によっては通勤時の保険や税金の手続きなど、住民票の異動が必要になる可能性があるので、事前に確認しておきましょう。
選挙権を行使できない
住民票の住所が異なる場合には、選挙権の行使にも影響を及ぼします。選挙権は、住民票の登録地域に基づいて付与されます。住民票を移していない場合、住民票に記載されている選挙区でしか選挙権を行使できません。
選挙では、住民票作成日から3力月以上、該当する市区町村の住民基本台帳に記録されている満18歳以上の日本国民が投票できます。
参考:選挙人名簿|総務省
【注意】「住所不定」になる可能性もある
期間工の転居に伴う住民票の変更手続きを怠ると、自治体との情報が一致せず「職権削除」が行われる可能性があります。
職権削除とは、住民基本台帳の記録と実際の居住実態が異なることが判明した際に、住民票登録がある自治体が住民情報を削除する措置です。職権削除により、保険や公共サービスの利用が制限される可能性があります。
参考:住民基本台帳等|総務省
転居が発生した際に、それまで住んでいたアパートやマンションを引き払った後、住民票の変更を怠ってしまうと旧住所と新住所の情報が一致しません。自治体は住民の居住実態を確認するため、住民記録の整合性を確認しています。
そのため、期間工としての勤務を辞めて一時的に実家などに戻る場合でも、住民票を変更しておくことをおすすめします。
参考:住民票の職権削除について|佐賀県みやき町
参考:住民票の職権消除|福岡県川崎町
期間工として長く勤める場合は、住民票は移しておこう
期間工として働くにあたって転居先が決まった際は、転居前後のそれぞれの市区町村の役所で、転出届と転入届の手続きをして住民票を異動しましょう。
期間工の仕事が1年未満の場合や生活の拠点となる本拠地が変わらない場合には、住民票の異動は不要となりますが、長期的な勤務を考えるなら住民票を変更しておく方がよいでしょう。マイナポータルでの手続きサービスもあるため、役所に行く時間のない方は活用できます。
また、住民票の異動を行わないことで選挙権の行使に影響があることや、住所不定になる恐れがあることも事前に理解しておくことが必要です。契約条件によっては住民票を移さなくてもよい場合もありますが、期間工として集中して働くためにも勤務の前に必要な準備を進めておきましょう。