「経済的自立」と「早期リタイア」を意味する「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」を実現するためには、まとまった資金が必要です。「稼げる仕事である期間工では、FIRE達成可能な金額を貯められるの?」といった疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、期間工として働くことでFIREの実現が可能なのか、具体的なポイントをお伝えします。また、投資知識の重要性やライフプランの立て方についても紹介します。この記事の内容を参考に、FIRE実現のための一歩を踏み出しましょう。
目次
期間工でFIREの実現可能か
有期雇用である期間工は、短期間で貯金しやすい仕事であるため、FIREを実現できる可能性があります。労働基準法によって、期間工の勤務は最長でも5年となるので、一度の期間工だけではFIREできない場合もあります。しかし収入が比較的高いうえに、寮生活をすれば生活費を最小限に抑えることができます。
期間工の収入を貯金・運用することで、資金ゼロからFIREへの挑戦も可能です。自己資金を含めた目標設定金額を明確にし、貯金や運用の計画を立てることがFIREにつながります。
また、早期のFIREが困難でも「サイドFIRE」 であれば実現できる可能性が高まります。期間工で収入を得ながら副業や投資などの追加収入を得ることで、FIREに向けた貯金や資産を形成できます。
FIREに必要な資金額
FIREの実現には、年間生活費の25倍を目安とした「4%ルール」の考え方があります 。米国のトリニティ大学の論文によれば、資産運用額の4%未満を毎年の生活費として切り崩していくことで、30年以上資産を枯渇させることなくFIREが実現できます。
2022年に総務省が発表した「家計調査報告」によると、単身世帯の平均消費支出 は月15.5万円で、15.5万円×12カ月で年間約186万円です 。 この金額を基に計算すると、186万円×25年=4,650万円が単身世帯のFIREの目標資金となります。
ただし、個人の生活スタイルや目標によって必要な資金額は異なります。自身のライフスタイルや将来の計画を考慮し、具体的な目標金額を設定することが重要です。
期間工で稼げる金額
期間工の給料が時給1,270円で、週休2日の3班2交代制で勤務すると仮定します。1日の労働時間を8.75時間、勤務日数を20日とした場合、「1,270円×8.75時間 ×20日」で月収は夜勤手当等を含めると25.8万円 です。
ここから、社会保険料や所得税の源泉徴収額、住民税などを引くと手取り額は20万円程度になります。月40時間の残業にもすべて協力すると月収は32.4万円で、手取り額は約25万円です。
無料の寮に入り、外食や外出を避けて生活費を月5万円程度に抑えることで「月に15万円の貯金を目指す」と仮定します。年間の貯金額は240万円です。満期54カ月(4年6カ月)で勤め上げることを想定すると、15万円×54カ月=810万となります。残業にすべて協力し、生活費を同程度に抑えて月に20万円を貯めることができれば、満期だと20万円×54カ月となって1,080万円が貯金可能です。
また、期間工の期間満了 (フル満了)時には満了金も支給されることがあります。たとえば、上記条件を基に満了金312万円を加算すると、1,100万円以上の貯金が可能です。
ただし、具体的な収入や貯金額は個人の労働条件や生活費の節約方法などによって異なるため、すべての人に当てはまりません。自身の収入や生活費、勤務条件に基づいて具体的な貯金目標を設定し、計画を立てることが大切です。
また、まとまった金額を稼ぐために、異なる事業者の期間工に連続して勤める「期間工ループ」と呼ばれる働き方をする人もいます。
期間工からFIREを実現するためのポイント
FIREを実現するためには、将来の生活費を想定し、必要な資金を計算することが重要です。以下のポイントに留意して、まずは計画を立てましょう。
1.投資の知識をつける
FIREの実現には貯金だけでなく、投資による資産運用も大切です 。早い段階から投資の知識を身につけ、長期的な視点で資産を運用することで、FIREの実現が近づきます。
投資では、複利の効果を生かすことで効率的に資産を増やすことができます。複利とは、資産運用で増えた利益を再投資することで、その利益にも利子がついて利益が雪だるま式に増えることです。
投資の種類としてはインデックス投資 やETF などが人気ですが、適切な情報収集やリスク管理を行うことが欠かせません。また、FIREの「4%ルール」は一般的な指標ですが、注意点も存在します。将来のリターンやインフレ、ライフスタイルの変化などを考慮し、適切な引き出し率を設定する必要があります。
投資をする際には、市場の変動やリスクを理解し、自身のリスク許容度に合った運用を行いましょう。適切な知識を身につけ、資産運用を通じて効率的に資産を増やすことで、期間工でもFIREの実現につながります。
2.ライフプランを長期的に見通す
FIREは必要な生活費から逆算して計画を立てるため、将来の目標や希望を正確に考慮に入れる必要があります。将来の住居や教育費、医療費のほか、趣味や旅行などの娯楽費など、ライフスタイルに合わせた具体的な費用を見極めましょう。
また、予期せぬ病気や事故、介護などのリスクも念頭に置いておく必要があります。自分に合った保険の加入や予備資金の準備など、万が一の場合に備えるための対策も考慮しなければなりません。
ライフプランの見通しは、長期的な視点が求められるため、将来の経済環境や社会の変化も考慮しながら、柔軟性のある計画を立ててみましょう。
FIRE達成のため、期間工で資金を貯めよう!
期間工は、短期間で多くの貯金がしやすい働き方です。月収20万円以上の収入のほかに奨励金や慰労金、満了金などでの上乗せが見込めます。また節約や寮生活で生活費を抑えることで、月13万円以上を貯金できる可能性があります。
FIREを実現するためには将来必要な資金額を把握し、具体的な目標金額の設定が第一です。月の支出を単身世帯の平均消費額である15.5万と仮定すると、年間で186万円が必要となります。年間生活費の25倍を目安とした「4%ルール」を参考にすると、186万円×25年で4,650万円が必要ということが分かります。単身世帯で、FIREを目指すのであれば4,650万円を一つの指標にしましょう。
また、FIRE実現のためには貯金するだけでなく、投資の知識を身につけ、長期的な視点で資産を運用することがポイントです。できるだけ早い段階から始めれば、複利の効果を生かして効率よく資産を増やせます。
ライフプランの長期的な見通しを立て、将来の予期せぬ出費やリスクを考慮し、自分に合った保険や予備資金の準備もしておきましょう。将来自由な生活を実現するためにも、この記事を参考にして期間工でFIREを達成しましょう。